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モノづくりスタッフや営業職の各事例から見た、モチベーションアップの行動と意識を紹介

 会社をリードしていくべきモノづくりのスタッフ職や営業職においては、どこもモチベーションアップや風土改革に一生懸命取り組まれていることでしょう。 しかし実際は、経営陣や人事事務局が、かっこいいスローガンを言っているが、なかなか行動が伴っていないのではないでしょうか。まず上に立つリーダーであるべきあなたが、モチベーションアップの行動を示しましょう。    そのために、思わずうなずいてしまうような職場でよくある業務遂行中のケースを振り返りながら勉強して、行動と意識を変えていきましょう。

モノづくりスタッフの上に立つ人の心得や行動

トップ、部長たちが本当にしかるべき人物は後ろで隠れている
組織における末端の人員までの情報の展開不足について
まず人を褒める文化が必要なのではないか
失敗ばかり叩くと、量をしぼりだす
今のままでは失敗はないが、このままではジリ貧
神輿に乗ってる勘違い指導者より神輿の先頭に立て
課長が部下のキーマンに厄介な仕事の指示を出す時の裏技
聞き流す勇気と度胸
自分が元気をなくすと、部下の活力に影響が出る
忙しい人にどんどん仕事が言いつけられる
仕事をやってるぶりっ子のエビデンス造り

トップ、部長たちが本当にしかるべき人物は後ろで隠れている

勇気を出して自ら 「渦中の栗を拾おうとチャレンジする人」がうまくいかない時に、上位の人はあまり怒ってはいけません。
 まずリスクを承知で手をあげた気持ちを評価してあげてご苦労様を言ってあげるべきです。
本当に怒るべき人物は、そもそもそれを自分の仕事としてやらなくてはならない立場の部署の人とか、 自分の上司に対してかもしれません。
  勇気を出して実施した本人に向かってあまり怒り過ぎると、もう二度と手を上げてチャレンジする事はしなくなるでしょう。まず褒めた上でここは良かったけど、もう少しこうすればよかったねとか言葉が必要でしょう。

組織における末端の人員までの情報の展開不足について

 組織のトップが各リーダーを集めて、事細かく説明した内容がなぜ末端までに伝わらないのでしょうか。 組織のリーダーは上位からの話を各自勝手に判断をして、伝えなくてもよいとしている内容が実は多くて、末端まで展開されていないと考えるべきであります。
 なぜ組織のリーダーはまたに話が展開して行かないのでしょうか。それは、メンバーから質問攻めにあったり、要望を言われたりした時に、全部自分が仲介役となり、あいだに挟まれた状態になるのを恐れる面倒くささがあるためであります。いっそ聞かなかったこととして情報を下に展開しないのが楽ということであります。トップが会社の危機感を伝えようとリーダークラスに一生懸命話をするも、その危機感自体を下に説明するのが嫌なために説明を自分で止めてしまうのであります。
  ただの連絡事項でなく、本当に社員の末端までいうべき重要な話は各Gミーティングといった小さな会議体にトップが顔を出して自ら説明してください。中間管理職に行ったから皆に伝わるだろうと思っていては大間違いですよ。

まず人を褒める文化が必要なのではないか

トップの社員報告の場ではまずほめてください。例えば、大きな受注で大きな利益をあげたプロジェクトの進捗報告に対して、開口一番、細かい部分をついてくる経営者がいる。大きな利益が出ているところは何も触れずに、細かい点で赤になっている項目だけ、例えば設計費、組付け費など、といったことに議論して、わーわー騒ぎ立てるのは非常に社内チームのモチベーションが下がります。まずは、全員を褒める行動がほしい残念な経営者であります。まず、ほめた後でこの部分が少しおかしいんじゃないかというような指導の仕方にしたほうがいいです。

失敗ばかり叩くと、量をしぼりだす

設計ミスばかり強調して責めていると、設計者は量をしぼり、質を求めます。
仕事量が多いと、図面への完成度は下がることが一般的に多いです。 ミスばかり叩いていると、少い量で質のある物件を担当している者をうらやましく思い、量の仕事の依頼を嫌がったり、上手く断り始めるかもしれません。 量をこなしているという成果は目立たず出来て当たり前と思われがちです。量を行っていて失敗する人と量を絞って失敗の少ない人はどちらが組織にとってありがたいでしょうか。

今のままでは失敗はないが、このままではジリ貧

トップからの業務改革の指示に対しても、自分たちの井戸の中で運動会を続けることで、自組織の存続を続けます。気が付かないうちに、いい仕事がどんどん手からこぼれてしまって、手遅れになっているかもしれません。 外を見てチャレンジする気を起こすことも大切です。

 誰かが書いた企画、資料、図面に対して指摘する人はたくさんいます。 しかし、ゼロから行う活動は提案形で、完成度はまだ不十分であるが勇気がいります。 指摘の嵐の真っただ中に立つ度胸がいります。提案者が減って、指摘者ばかりになると、1人のボケに10人の突込みの漫才にもなってしまいます。  
  保守的な方は、変革やチャレンジに対しては二の足を踏むことが多いと思います。 ゼロからリスクのある業務に手を出すより、従来からの業務に張り付いた方がある意味、安全で楽です。 しかし、このままではじり貧になる可能性もあります。忙しい中でも、次に向かってチャレンジすることが大切です。

神輿に乗ってる勘違い指導者より神輿の先頭に立て

 一部の大組織の中で管理的な業務をしている方の中で、チームの皆が 「自分を神輿で担いでくれている」と、勝手に自分一人で勘違いしている人はいませんか。 
 自分は神輿を担ぐ先頭に立って、皆を引っ張っていく行動のリーダーになってください。
 上から指示をしたら、誰かが人を集めて自然と実施してくれるのは大間違いです。 抽象的な指示を出すだけでは駄目で、手順、着眼点、思いを作戦として明確に指示することです。 いつも口ばかりで上から目線だと部下は疑い始めます。
 指示、文句だけの指導者でも、たまには自ら行動する後ろ姿を部下に見せることです。 これは自分の技術力、マネジメント力を維持し続けることにもつながります。
口だけ、指示だけで何もできないことがわかり、実力を疑われてくると部下がついて来なくなります。

課長が部下のキーマンに厄介な仕事の指示を出す時の裏技

例えば、あなたが1つの組織の課長さんの立場だと仮定します。プロジェクトを引き受ける時に、課長は自分の課の中のメンバーに仕事を振らねばなりません。 プロジェクトの難しさから考えると、あるキーマンが思い浮かびます。この時にそのキーマンの上司である係長を含めて、どういった順番で話を持って行きますか。
 ①は、通常の通り、課長は係長にこの仕事をやれと指示をするだけです。おそらく、係長は何色を示し、今は忙しくてできませんと言ってきます。 ○○さんにお願いするようにしてほしい、という気はあるけどなかなか進みません。
 理由は、キーマンは、どうせ係長はできないから、自分しか進められないだろうと上から目線です。係長自身も強い口調で指示できなくて、自分が説得できないから、課長からの依頼に対してはノーと言うケースが本音のところでしょう。
②は、課長が気を聞かせてキーマンに直接話を通した後に、係長にその話を出すケースです。
係長は自分が抜きにされて直接根回しされたことに機嫌は悪くなって、へそが曲がってくるかもしれません。
③は、普段のコミュニケーションもよくできているような課長です。 さりげない会話の中でキーマンに対して、ジャブを軽く打って感触だけ確かめます。 その後、時をあまり 間を置かない状態で係長にプロジェクトを話します。
難色を示す係長も、課長の「実は○○さんにチョロッと話すと、まんざらでもない顔をしていたよ」 とコメントすると話がスッと入っていきます。モノづくり組織の中では、技術力や経験が物を言うために、経験のあさい実力のない上司は部下のキーマンから見透かされたりして、なかなか動きづらいケースはあると思います。

聞き流す勇気と度胸

 中には上からの話がかなり無茶なケースもあります。そういう時は、自分の責任で無理な指示を飲み込んで次に流さないようにして責任を負うことも必要なケースがあります。 すぐ下に流すと周りが振り回されたり、日々指示が変わったりする結果となって、組織が混乱することもありますから注意してください。

自分が元気をなくすと、部下の活力に影響が出る

 上司の元気なさ、活力の低下は、下に自然と伝わるもの。 上に立つ人は周りに対して下記のことばには気をつけて発言することです。「自分も早く他の部署か転職しようかな」「OO年後、そのころには自分もここにはいないので‥‥」
「自分はCO部からここに追い出されたので、来年はここをクビになるかも」「自分は部署を変わらしてもらえずに、ずっとここに居残りさせられて、後処理、しりぬぐいばっかりやらされている。」 どこの誰がきいているかわかりませんよ。

忙しい人にどんどん仕事が言いつけられる

仕事をしなくて目立たない人は、以外とペナルティーもなく退社もないです。 
そのまま存続していて、仕事をしない人の分をできる人材が必死で仕事をカバーしています。かなり理不尽であります。
 トップへ話を申し入れるが、なかなかかいぜんされません。
仕事をしない人が普通に過ごしていると若手や忙しい人に示しがつきません。会社の仕組みとして中小企業はもっとダイナミックな方法を考えてください。
細かい不具合や、その苦労話、他部署との進め方の詰めた結果報告は大事なことでありますが、だんだん、エキサイトして『私の部署は忙しいですよ』 のPRの報告に変わってくることに注意してください。  忙しぶりっ子作戦は、自組織を守る手段の悪い事例です。

仕事をやってるぶりっ子のエビデンス造り

 人が集まった時に何かを発言することで自分も仕事をやっているアピールする方が、
中にはいるのではないでしょうか。
  メールを関係組織やお客様に送る時に、特に関係のない多くの人にCCで展開する方が見受けられます。 ただ情報をしっかり展開するためですが、一部の場合はそうでないかもしれませんよ。
  その心は、多くの人に自分が動いていることを知ってもらうため。 または、自分が本位ではないことを依頼されたりされたりした時にその反応として、自分が発信することで、公開裁判のように自分の有利なほうに皆に思ってもらえるようにしたい気持ちもあるでしょうかのではないでしょうか。

モノづくりスタッフの上に立つ人の心得や行動  反面教師編

批判はするが、どうするかの具体策が出てこない人
抽象的サミット会議
じゃんけんの後出し軍団
自分の身を守るアリバイ造りをしていませんか?
参加したが何も判断できない上司
重要な会議に出席しない管理者は失格
溺れる者に石持たす  

批判はするが、どうするかの具体策が出てこない人

批判しているが、ではどうするかの具体的な話がないのはいかがなものでしょうか。
抽象的な希望的な方向性だけ話して、意見した気になっている上位の方は多いと思います。 自分で決断や意見がないために、指摘だけ繰り返している人。 具体案でなく、感想ばかり長々説明する人がいます。
 リーダーの方にとって必要なのは、自分で手を汚したり、自分でお客様と交渉したり、自分で資料をまとめて部下、上司を説得する行動が欲しいです。 「この人がいなくなっても会社は困らない」 と思われたらおしまいですよ。

抽象的サミット会議

抽象表現でごまかす人。資料を作らせば、やたらスローガンや、希望ばかりかっこいい表現のわりに、業務遂行につながる具体的表現が無い人がいます。 仕事を回すのを十分に把握してない人は、わざと抽象的にかっこいい言葉だけで済まして逃げる人です。
 こういった人たちが集まって会議を実施しますが、こういった会議の場は 「抽象的サミット会議」といいます。 全然、具体的実行に欠ける内容です。

じゃんけんの後出し軍団

 モノづくりはトラブルの連続です。 問題が起きた後、そもそも論の話で、なぜこれを確認しておかなかったのか、なぜこの段取りを入れておかなかったのか、なぜ作った設備メーカーがここに立っていないのか、といったようなことが話題になります。
  これから先の解決する話より、 何が悪かったか、誰が悪かったかの話が多いです。
「後出しじゃんけん」のように何でも言えます。
やることが多すぎてとても回らなかったという言い訳しか担当者からは出ないと思います。
議論をするなら何でやっていなかったのかということより、 なぜそのステップを行うことができなかったのかの業務フローや計画を議論にしてほしいものです。

自分の身を守るアリバイ造りをしていませんか?

・上から来た厄介な話に対して、NOとは言えない時の管理者の行動
・上やお客様から降りて来た話を、自分で止めて考えたりせずに、
 部下にトスするだけの指示や依頼、会議を設定するのみ。
・自分はちゃんと部下に指示したというアリバイを造るだけの行動

参加したが何も判断できない上司

会議対に参加したリーダーだが何も発言できないケースです。お客様とか、社内のいろいろな交渉ごとに、リーダー一人では出席できずに、部下と一緒でないと参加しないリーダーがいます。また、出席した会議体でも重要場面でなかなか発言できない場合があります。そして会議に出席したとして、重要な議題とは関係ないところで、本質的でない質問をして会議に参加した気になってないでしょうか。

重要な会議に出席しない管理者は失格

会議体の中で重要な判断、決断を迫られるような物には必ずリーダー自身が出席することです。
  リーダーの言い訳です。部下の方が内容をよく把握しているため、 ヘタに自分が聞いてジャッジをしてもその部下が聞き入れてくれない可能性があるから、部下だけいかそうという考えです。 または、自分はこの物件に 手を 汚してないから当然よくわからないため、自分が責任ある決断をすることから避けたがる気持ちがあります。 
  少なくとも 部下と一緒にリーダーも必ず出席するようにお願いします。

溺れる者に石持たす  

事件が起こると各関係組織は、状況を各組織の上に報告する必要があります。 そのためパニック状態の当事者に対して詳細報告、説明の山となってきて、余計に当事者がおぼれてしまう状況です。
 「溺れる者に石を持たす」 とは、橋の上から溺れる人に対して、原因追究して資料をまとめて皆がわかりやすく納得できる対策を考えて早く報告せよという宿題を次々浴びせることです。 一刻も早く対策しなければならない担当者は、むしろプレッシャーに感じます。橋の上ではなく同じ目線に降りて、担当者の邪魔をせずに対策に集中させることです。

関係部署への行動

同じ社内でも後工程はお客様?
総論賛成、各論反対
設計の方! お客様の前で営業の背中に隠れていないでしょうか
メールのやり取りでの気になるポイント

同じ社内でも後工程はお客様?

 会社全体が、営業、設計、製造、関節部門が一丸となってチームワーク よく動くのが理想であります。しかし組織ではどうしても多少の壁が存在します。モノづくりをしている世界には業務プロセスの上流と下流というものが存在します。モノづくりの世界では上流の人は後工程に対して迷惑をかけないように考えて、後工程はお客様と見る傾向があります。 また後工程の人も前工程からは正確な仕事が来るべきだという思いが強くなってきます。これがひどくなってくると1個の組織、1つの会社の中で、設計は製造する作業者のたちに文句を言われないように何でもかんでも丁寧に仕事をしていくという傾向がだんだん強くなりエキサイトしてきます。後工程も市場のお客様を見ないといけないところですが、前工程に対して色々な要求をしていきます。 設計者は製作する側の人に対して「上げ膳据え膳」の風習が漂ってくるケースがあります。
これが強くなりすぎると前工程ばかりに色々な雑用、雑務が増えて本来の設計工数が足りなくなってしまいます。会社全体の仕事量が設計ネックのために少なくなってきます。 つまり 設計者は忙しいが現場の仕事は暇という傾向が年々強くなってきます。経営者や役員がしっかり見定めていく必要がありますが、技能系の人も前工程や設計者の苦労は頭では分かっているけど実際は細かいことを言い続けるでしょう。 前後工程の人材をローテーションしてお互いを体験させたりするということをしないと、なかなかこの傾向は止まることができないのです。

 総論賛成、各論反対

会社の仕事としては賛成であるが、それを自分の部署が行うとなれば、言い訳をして拒否するケースもあります。上の立場の人だけが集まった会議でよくあるケースで、かっこいい正論で、抽象的な話し方だけで、キャッチボールが進み、全体としては賛成ということにはなります。つまり総論は賛成ということになるわけです。
 しかし、実際に自分の部署に話が降りてきた時に、この話は君がやるんだよということになると反対に回ることがあります。
 会議体では「集団思考」が働き、非合理的な判断をしてしまうこともあります。
そして、集団で業務を進めるにあたり、「人数が増えるほど1人あたりのパフォーマンスが落ちてしまう」といった「リンゲルマン効果」と呼ばれている現象もあります。 つまり、自分ではない皆が実施する、または他の部署が実施すると考えてしまいます。会議に参加したが人数も多いため当事者意識も少なくなって、まさか自部署に指名がくるとは考えてなかったため、各論反対となってしまいます。                                                    
  (心理学 立正大学 斎藤勇著より  西東社)

設計の方! お客様の前で営業の背中に隠れていないでしょうか

お客様と交渉する時は、営業だけでなく、メカ設計も電気設計も、現場の組付け作業の方も皆戦ってください。
技術的な内容も細かい点も実は設計の方がはるかに知っています。しかし、お客にビビッて何も発言しないまま交渉が終了してしまう事がないですか。後で言い忘れたことを、自社の営業に偉そうに発言することはやめてくださいね。

メールのやり取りでの気になるポイント

1.あて先はできれば1人にして、あとはCCで送信
    宛先の人は全責任を負う気持ちで対応してください。

2.営業あてに話が来たとき、設計も電気も直接関係ないと思うかもしれません。
  または、まず自分ではないから、宛先の人からの反応を待とうと、問題先送りして考えるかもしれません。
でも、営業から話が回ってくるのは、設計、電気ですからCCメールを見て
  対策や行動を考え始めていた方が良いです。

営業のお客様への対応

新しい生産技術を受け入れようとする人たちの本音
仕様書の受け取りレベル  指示通り受注から提案型受注 3つのパターン
大手から来る設備の自動化依頼が、稟議になるとトーンダウンして消滅
大手から設備の設計製作の依頼が来る3つのパターン
抽象的な「きぼう書」か、具体的な「しよう書」か
お客様の担当者の後ろにいる人にご理解いただく
交渉、説明、言い訳に行く時は、お客様担当者へ武器を提供する

新しい生産技術を受け入れようとする人たちの本音

機械のモノづくりにおいて、四つの立場についての違いを説明します。その機械を使って生産する組織におけるトップの人と実担当者の人。そしてその機械を開発してクリエイトしていく組織とか会社のトップとその機械を開発している実担当者の人。 以上の四つの人の立場とか思いといったものは、 総論は同じとしても各論はそれぞれ微妙に違うところがあります。 四つの思いは、 総論は同じでも各論は違います。

機械のモノづくりにおいて、四つの立場についての違いを説明します。その機械を使って生産する組織におけるトップの人と実担当者の人。そしてその機械を開発してクリエイトしていく組織とか会社のトップとその機械を開発している実担当者の人。 以上の四つの人の立場とか思いといったものは、 総論は同じとしても各論はそれぞれ微妙に違うところがあります。
  生産ラインで製品を量産している 組織長の思いは、現状を変えて効率を大きく上げたい、成果を出したい、 という将来に向かっての大きな願いというのがあります。しかも自分がこの組織長である間に成果を確実に上げていきたいという思いも強いです。 生産ラインで部品を量産している担当者の方の思いというのは、日々の生産に責任を持って取り組んでいるために、あまりチャレンジャーブルなことはしたくないという思いで、大きなリスクとかは避けて怪しい技術を導入するのは波風を立てないでほしいという思いが強いです。
 それではその機械をクリエイトして生産ラインへ導入する側の組織とか会社の思いについて説明します。機械メーカーの経営陣とかトップの方は、まず売上をアップして利益を出すことが第一優先に考えられると思います。そのため技術的な完成度とか評価と言ったことは頭では分かっているが、意外と腹に落ちていないために、機械の姿は見えてきたらすぐに市場に投入して打っていきたいという気持ちが強いです。機械メーカーの実担当者の思いとしては、自分たちが生み出した機械が正常に流れて行く自信をしっかり確認して導入したいというところでしょう。中途半端では納入先に張り付き状態になってしまって大変な苦労が待ち受けているために、 まだ評価するところがあるということで導入はいまいち積極的ではない考えがあります。

大手から来る設備の自動化依頼が、稟議になるとトーンダウンして消滅

設備メーカーが検討を重ねて、構想図を作り、見積りを提出したら、お客様からプロジェクトが消滅して仕事がなくなったというケースが少なからずあります。
お客様の担当者がメーカーから手に入れた見積書を上司に上げて、いざ稟議申請となると、トップから中止になるというケースです。見積書を持って話を上げて、課長には話が通っても部長、役員と話が上がっていく段階で、もっと他のプロジェクトが優先されて話がご破算になるというケースです。 設備メーカーの方は、構想図とか成り立ちを一生懸命考えて、見積もりまで提出したはずですけど、その費やした工数は全て無駄になることはないでしょうか。

大手から設備の設計製作の依頼が来る3つのパターン

1.よく検討してから依頼されるパターンです。設備のイメージを具体的に、絵で示して提示されます。
   これは、依頼するお客様にとっては正確であるが、設備メーカーからの追加請求のリスクが
   多いです。ベテランのお客様はあまり行わないです。新人が良く行うパターンです。

2.製品がどのように、出来上がるかだけを依頼設備目線でなく、製品目線で仕様書を作成
  設備の仕様を明確にしなければ、メーカーが後でハマります。

3.何も具体的な話をしないで、コストと日程の希望のみ提示されます。これはもしかして、悪魔の発注かもしれません。

抽象的な「きぼう書」か、具体的な「しよう書」か

 生産工場現場の機械発注を行うメンバーの中には、機械を使うことはよく知っていても機械をクリエイトしていく設備仕様というものについては慣れていないところがあるために、最悪のケースも出てきます。お客様からは希望の納入時期と投資の予算ははっきりと明示されます。しかし機械としては コンパクトで、稼働率が良くて、不具合で止まらないもの、保全はしやすくしてください、といった「仕様」というよりは「希望」という言葉ばかりが出て前に進まないことも多いでしょう。

 詳細の打合せをお客様と機械メーカーで何度もやるわけですが、なかなか話がまとまらなくて、機械の構造図も何回もかき直すだけで日程がどんどん過ぎていきます。なんとなく固まったような話で機械を作ったわけですけど、 完成した機械を見るとお客様から色々な追加変更の話が出てきます。

お客様の担当者の後ろにいる人にご理解いただく

 大手のお客様担当者からの難しい課題に対しての機械メーカーとしての対応の話です。
目の前の担当者に一生懸命説明して理解頂いただけでは話は終わらないと思ってください。
問題はお客様のバックにいる上司が壁であることが多いです。

  この担当者が上司とか自分の組織の中において発言力があってしっかり展開して説明しきることができる人物だったら安心です。しかしそうでなくて上司の言うことに対して反論できないようなタイプの人でしたらなかなか難しいです。
そういう担当者の人には必ず武器を持たせてあげて。 武器というのは資料、 グラフ、表、 写真、動画であります。

交渉、説明、言い訳に行く時は、お客様担当者へ武器を提供する

相手の人に一生懸命に話をする人がいます。 これはよくしゃべるけど、実は意外と全然伝わっていないことが多いです。特にモノづくりの世界では、図面、写真、資料を作成して臨んでください。
戦いに行くときには、武器を持っていく。 これで勝負が決まる事が多いです。交渉、説明、言い訳も同じ。 手ぶらで行けばまず失敗します。
  機械メーカーの人はこの担当者が帰って会社の中で説明しやすいように 「武器」を渡してやることです。 この武器というのは説明しやすい資料とか、 グラフとか写真です。
担当者がこれらの資料を使ってうまく自社内に説明していただければ、機械メーカーだけが悪く言われる悪い話も防止できるでしょう。